しがないオタクの独り言

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今のジャンプ漫画はジャンプ「らしくない」。

私は漫画が大好きで特に少年誌はかなり長い間愛読しているのですが、特にジャンプは昔から今現在まで大変お世話になっています。

最近のジャンプは昔に比べ見るものがなくなった、と言われがちですが、いや、そんなことはないと声を大にして言いたい。

私腑が思うに、「ジャンプ漫画に面白いものがなくなった」のではなく、「ジャンプ漫画の傾向が依然と変わった」だけなのだと思います。

今回の記事ではそのようなジャンプ漫画の変化について考察したいと思います。

 1.現在のジャンプ漫画の傾向

⑴「バトル」以外の漫画の台頭

まず、今のジャンプのラインナップを見て思うのはジャンプ漫画の傾向が昔とはかなり違うということ。

ジャンプらしい漫画の代表格といえば、王道バトル漫画です。

それこそ「ONE PIECE」「NARUTO」「BLEACH」等が同時に掲載されていた頃はいわゆる王道バトル漫画が多く連載されており、ジャンプの看板を担っていました。

しかし、今のジャンプでは「僕のヒーローアカデミア」や「鬼滅の刃」等バトル漫画は依然としてあるものの、その割合は減っていると言えいます。

バトルものではなくても、スポーツものであればジャンプは今までも何回も連載してきましたが(「SLAMDUNK」「黒子のバスケ」「ハイキュー!!」等)今の傾向はそれとも違います。

例えば、「アクタージュ」や「Dr.STONE」等です。これらの漫画はバトル描写に頼らずヒューマンドラマや特定分野に特化しています。

食戟のソーマ」も料理というジャンプ漫画としては異色のジャンルを題材にしています。

つまり、バトル以外の漫画が今のジャンプの一定数を占めているのです。目に見えてわかりやすい変化はこれでしょう。

⑵「バトル」+α

所謂バトルもの以外の漫画が増えてはいるものの、「僕のヒーローアカデミア」等依然としてジャンプにはバトルものが存在します。

しかし、今のジャンプは「バトル」だけではなくその作品独自のプラス要素が併存しているバトルものが多い印象です。

具体例としては、今春からアニメがスタートする「鬼滅の刃」があります。

鬼滅の刃」はバトル漫画でこそあれ、ギャグ描写やなんとも言えない物悲しい心情描写が併存していることから、単純なこれまでの「王道バトル漫画」とは評せません。

また、特に顕著なのは現在アニメが放映されている「約束のネバーランド」です。メインはバトル描写ではあるものの、敵である鬼との知能戦も絡んでいます。

バトル漫画の内容自体にも変化が起こっているのです。

2.理由

では、なぜこのような変化が起こっているのでしょうか。私は原因としては以下があると考えています。

⑴バトル漫画が増えすぎた

理由の一つとして前述の「ONE PIECE」や「NARUTO」時代にはバトル漫画が爆売れしたので、ジャンプ=バトル漫画、または漫画の一大ジャンル=バトル漫画の公式が根付いてしまったため、バトル漫画が増殖したと考えられます。

そのため、バトル漫画が飽和状態となり、読者に飽きが来てしまったのです。

結果、バトル漫画よりもそれ以外のジャンルの方が目新しくなり、そのような漫画が台頭するようになったのです。

また、バトル漫画にしてもただ単に以前のような数ある王道バトルものを書いていては埋没してしまうため、ほかとの差別化を図るため、「バトル+α」の漫画が増えたのだと思います。

⑵時代の変化

ジャンプのターゲット層は昔から変わらず10代の若者が大部分ですが、時代の変化により彼らの意識も変わってきたと考えられます。

現在では技術化や情報化が進み、わずかな労力で生活ができるようになり、様々な情報が簡単に入手できるようになりました。

また、少子高齢化やAI技術の発達も重なり、日本はこの先ますます「人の力」を使わなくなると考えられます。

そうなると日本の雇用や年収水準は下がるため、日本ではもはや以前のように未来に対して無条件で希望を見出すことは困難になると予想されます。このような時代を生き抜くためには精神論よりもむしろ緻密な戦略が必要とされるでしょう。

そのような厳しい時代が眼前に迫っている今の若者たちにとって「努力・友情・勝利」のバトル漫画は感情移入しにくいのです

それよりかはむしろ、厳しい状況を戦略で打破する漫画を感情移入の対象に求めているでしょう。

以前のようなバトル漫画は現代の若者にとっては夢物語に等しいのです。

⑶読者層の変化

前述の通りジャンプの読者層が10代の若者であることは間違いないですが、ジャンプの読者層は以前と比べ少々変化しているのは間違いないです。

今ではジャンプの女性読者は3割にのぼり、年齢層も若干高めになっていることが推測されます。読者層が多様化したとも言えます。

需要が異なる上記の読者に従来のようなバトル漫画がウケるかといわれると答えは否です。

このような多様化する読者の需要に対応するために、ジャンル幅を増やしバトル以外の要素を付加することが必要となってきたのです。

(4)「進撃の巨人」を逃したから

個人的にはこれはかなり有力だと思ってます。

そもそも、上記(1)~(3)が真実だったとして、それだけではジャンプにジャンプ「らしくない」漫画が増えた理由にはなりません。そのような系統の漫画が漫画業界全体に増えただけであって、ジャンプには存在しないということもありうるからです。

他でもないジャンプに、従来のジャンプ「らしくない」漫画が増えた原因は、編集部がジャンプ「らしさ」に固執して、面白い漫画を逃すことを防いだからだと予想できます。

進撃の巨人」をジャンプ編集部が「ジャンプらしくない」との理由で突き返したのは有名です。このエピソードが示すように、依然のジャンプ編集部はあくまでジャンプ「らしい」漫画を求めていたと言えます。

しかし、「進撃の巨人」がマガジンで脚光を浴び、上記エピソードが広まってしまったことで、「ジャンプ編集部は無能」という評価が広まります。

このままでは、ジャンプ編集部に面白い漫画を持ち込んでくる新人が減り、他誌に遅れをとってしまう。それは何としても避けなければならない。

そう考えたジャンプ編集部は、意識的にジャンプ「らしくない」面白い漫画を受け入れることによって良い漫画を多く確保するようになったと考えられます。

同時に、そのような漫画を本誌で連載することによって漫画家がジャンプ「らしくない」漫画をジャンプ編集部に持ち込む心理的なハードルを下げているのです。

つまり、ジャンプ編集部が漫画の傾向を問わず面白い漫画を確保しよう意識的に働きかけたのです。

なお、ジャンプ編集部自体「進撃の巨人」を逃したことをネタにしています。このことは、ジャンプ編集部自身、「進撃の巨人」を逃したことを気にしていた証拠だとも思えます。もっとも、上記のことがネタにされたのはジャンプにもジャンプ「らしくない」漫画が増えた後だったので、今なら笑話として語れる、と編集部が判断したのでしょう。

3.まとめ

以上、今のジャンプ漫画についての考察でした。

あくまで私の考察にすぎませんが、おおむねあっている部分もあると思います。

少なくとも、今のジャンプは今の路線で成功しているため、時代のニーズにうまく応えていると言えるでしょう。

一読者の私としては、ジャンプ漫画の変化によって今までとは異なる漫画を楽しめて喜ばしい限りです。